2.紛争調整委員会によるあっせん

あっせんの例
事例1: いじめ・嫌がらせ(支店長からの暴言等)に係るあっせん | |
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事案の概要 |
申請人は、期間契約社員として勤務していたが、在職中に、支店長から「ミスを3回したらクビだ。」と言われ、ミスしてはいけないと精神的に追い込まれたため体調を崩した。社内の相談窓口に相談するも改善がなかったため、退職せざるを得なかった。退職後に、精神的・経済的損害に対する補償金を請求するも、支払われなかった。 このため、精神的・経済的損害を被ったことについての補償金として100万円の支払いを求めたいとしてあっせん申請したもの。 |
あっせんのポイント・結果 |
・あっせん委員が双方の主張を聞き、被申請人に対し、解決に向けた考えを確認したところ、被申請人は、ミスがないようにという旨の指示をしたことはあったが、ミスを3回したら解雇にするという意図はなかったとして、いじめ・嫌がらせの事実は認められなかったとしたものの、問題を解決するために、金銭による解決の考えを示したもの。 ・解決金として双方譲歩可能な金額を確認し、調整した結果、解決金として60万円を支払うことで合意が成立し、解決した。 |
事例2: いじめ・嫌がらせ(代表者からの暴言、職場環境等)に係るあっせん | |
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事案の概要 |
申請人は、私病による体調不良から、通院のため早退することがあった。社長、部長に対し、通院のために早退することを伝えたところ、心ない発言を受けた。 体調不良に加えて、事業主からの心ない発言を受けたことにより、精神的に追い込まれ、退職せざるを得なくなった。社長に対して、発言の謝罪と補償金の支払いを求めたところ、心ない発言についての謝罪はあったものの、補償金の支払いはなされなかった。 このため、補償金として退職しなければ得られたはずである1、2年分の賃金補償(100万~200万円)の支払いを求めたいとしてあっせん申請したもの。 |
あっせんのポイント・結果 |
・あっせん委員が双方の主張を聞いたところ、被申請人は事実を認め、金銭解決の考えを示したものの、1年分の補償は難しいという内容であった。 ・これに対し、申請人としては、退職せざるを得なかった環境を理解してもらった上で、1年分に近い額の補償を求めたいとした。 ・あっせん委員が、被申請人に対し、事業主の発言としては軽率であることを説明し、解決に向けて働きかけたところ、解決金として50万円支払うことが示された。 ・被申請人の解決金額の提示を受けて、あっせん委員が、調整した結果、解決金として60万円を支払うことで合意が成立し、解決した。 |
事例3: いじめ・嫌がらせに係るあっせん | |
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事案の概要 |
申請人は、店長から、日常的に「バカ」「お前」などと言われ、精神的苦痛を感じており、店長に改善を求めて抗議をしたものの、店長は全く聞く耳を持たず、退職に追い込まれた。 このため、精神的損失を被ったことに対する補償として、50万円の支払いを求めたいとしてあっせんを申請した。 |
あっせんのポイント・結果 |
・あっせん委員が双方の主張を聞いたところ、被申請人は「バカ」や「お前」などといった発言は冗談であるとしていじめ・嫌がらせの事実を認めなかったものの、問題を解決するために、解決金として5万円を支払う考えを示した。 ・申請人は提示された解決金額について同意したため、解決金として5万円を支払うことで合意が成立し、解決した。 |
事例4: 整理解雇に係るあっせん | |
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事案の概要 |
申請人は、部長から会社の業績不振を理由に解雇を通告された。突然の通告であることに加え、解雇について明確な理由もなく、解雇する必要があるほど業績が悪化しているとは思えない。申請人は、解雇の撤回について部長と話し合うも、撤回は認められなかった。 このため、解雇の撤回を求めるとともに、撤回が出来ないのであれば、経済的・精神的損害に対する補償金として150万円の支払いを求めたいとしてあっせん申請したもの。 |
あっせんのポイント・結果 |
・あっせん委員が双方の主張を聞き、被申請人に対し、解決に向けた考えを確認したところ、被申請人は、申請人の復職を認めるが復職先は会社が決めること、解雇を白紙としてその間の給料を支払うこと、復帰を望まない場合には金銭による解決を行う考えを示したもの。 ・これに対し、申請人は、復職先を会社が決めることに難色を示したため、解雇の撤回ではなく金銭による解決の意向を示したもの。 ・あっせん委員が双方譲歩可能な解決案を確認し、調整した結果、解決金として60万円を支払うことで合意が成立し、解決した。 |