あかるい職場応援団
厚生労働省

「社内でハラスメント発生! 人事担当の方」【第17回】「各種対策を一通り実施。今後の活動内容を模索」 ―セクシュアルハラスメント対策の延長で取組

【第17回】
各種対策を一通り実施。今後の活動内容を模索 ―セクシュアルハラスメント対策の延長で取組

取組のポイント 所在地

愛知県

  1. 社内ルールの整備
  2. 全社員に対してハラスメント研修実施
  3. 内部通報制度で相談対応
業種

物流業

従業員数

約300人

もともと物流業は男社会。そこに平成18年に男女雇用機会均等法の改正もあってセクシュアルハラスメント防止に取り組み、その延長としてパワーハラスメント対策を始めたというE社。コンプライアンスを担当する部署と総務部が協力して取り組んでいるということで、両部門の責任者にお話を伺いました。

女性をハラスメントから守らなくてはいけない

物流業は男中心の業態で、社外の男性作業員や運転手も頻繁に出入りするのですが、ハラスメントに対しては無関心なところがありました。そこに法改正があり、「このままではいけない」という状況になりました。最初はセクシュアルハラスメント防止として取り組みましたが、ここ2~3年はパワーハラスメントを含めた「ハラスメント」を対象として活動しています。
平成17年に倫理規範を制定し、その中に「人権を尊重し健全な企業風土を作る」という指針が表明されました。その後、セクシュアルハラスメント防止のガイドラインと内部通報規定を定め、就業規則にもハラスメントの禁止を規定しています。セクハラ防止ガイドラインは、名称はそのままですが、現在はセクシュアルハラスメントに留まらず、パワーハラスメントについても適用しています。

研修とアンケートで社内啓発

何がパワーハラスメントスメントで何が指導なのかということがある程度理解できていないと、ハラスメントが起こる可能性があるので、全社員を対象に1回30~40名規模の研修を実施しています。全社員が3~4年に1回のペースで研修を受けることになります。
研修では、上司がやってはいけないことや、どういうことがハラスメントに該当するか、ということに加え、指導を受ける立場ではどのようにあるべきか、という内容も含めています。
毎回、研修時にアンケートを実施し、ハラスメントを受けたことがあるか、見聞したことがあるかを聞くのと同時に、内部通報規定について知っているかどうかを確認し、社員に制度の周知とハラスメントに遭った場合には遠慮なく通報や相談ができることをアピールしています。記述内容によっては調査を行う可能性がありますので、アンケートは記名式にしています。
アンケートの集計結果は、個別事案を除いて、社内委員会に報告し、社員にフィードバックしています。社内委員会は、物流事故撲滅を目的に作られたのですが、今では労働安全衛生や情報セキュリティなど、社員一人ひとりが活動していくべき課題について協議し、社員に徹底する役割を担っていますので、社員への情報提供の手段として活用しています。

相談対応は内部通報窓口

ハラスメント防止の取組とほぼ同時に内部通報規定を策定しましたので、相談窓口は内部通報窓口一本としています。ハラスメントや社内の不正行為を通報するための窓口で専用電話とメールで相談を受け付けています。
担当者は、社外の相談担当者セミナーを受講し、対応方法について勉強しています。相談があった場合は、まず話をよく聞き、事実確認をして、対応の要望を聞いています。内容によっては社内の懲罰委員会で検討することになっています。
他に数年に一度、全社員を対象にアンケートを行い、業務や職場環境などについて調査しています。書面は上司を経由せず、直接総務部が回収し、経営層に内容を報告しています。その中で何か問題があれば、所属長に指導をすることもあります。

大きな問題が発生していない=対策がうまくいっている?

手さぐりでハラスメントの対応をしてきましたが、今までに大きな問題は発生していません。そういう意味では対策がうまくいっているのではないかと思う反面、まだ顕在化していない問題があるのかもしれないとも思っています。
自分たちが若い頃に比べて、会社は健全になってきたように感じています。業種柄、一人でできる仕事が少なく、みんなで協力して仕事をすることや、組織としての目標に向かって進んでいるということも大きいのかもしれません。
しかし、上司の立場として「昔だったら言えたのに…」ということも、ハラスメントを警戒して、必要な指導ができなくなってしまっているのではないか、傍から見て当然の指導と思われることも当事者はパワーハラスメントと感じてしまうなど被害者意識が強すぎるのではないか、と思うこともあり、まだまだ対策が必要だと感じます。
各種対策を一通り実施したのですが、研修は繰り返し行う必要があると思っています。しかし、研修内容をどうするべきか悩んでいます。アンケートも今はハラスメントの有無などについての情報収集をしている状況なので、もっと内容を深くするにはどうするか、と考えています。

事例をお聞きして・・・

研修やアンケート、相談対応など典型的なハラスメント対策を着実に実施し、一定の成果を感じていらっしゃるのですが、今後の活動について、このままでよいのか、どのように深めていくべきかを真剣に考えておられる様子がひしと伝わってきました。

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